空前の超低金利などによって不動産投資ブームが少し前に来ましたが、単に一生に一度の大きな買い物としてマイホームを買うと言ったこと以外にも、ふだん不動産に縁がなくても不動産投資について考えてみたことがある人は少なくないでしょう。
そこで今回は不動産投資とはどのようなものなのか初心者の方にも分かり易く書いていきたいと思います。
不動産投資とは?
不動産投資とは投資と言う限りはお金を投入して不動産を買ったり建物を建てたりして何らかの利益を得ようとするものですが、不動産投資には大きく分けて二つの側面があります。
一つは買った不動産が値上がりし、それを売却することによって利益を得ようとするもの(キャピタルゲイン)。そして、もう一つは買った不動産を利用して収益を得ていこうというもの(インカムゲイン)です。
まずは一つ目の値上がりを期待しての投資ですが、終戦後、経済が復興していく過程で人口が増え、産業が勃興し都心を集中に過程で起きたもので「土地は決して値下がりしない。」という不動産神話まで産まれましたが1980年代に頂点を迎えたバブル景気の終焉とともにそういった状況は終わりを告げ、今は局地的であったり特殊な事情があるケースでのみ期待が持てるものと言ってもいいでしょう。
また、二つ目の不動産を利用して収益を得るということを目的とした投資ですが、歴史は古くお馴染みのところでは江戸時代の長屋の大家さんみたいなものがそうで、不動産を貸してそこから賃料を得るというものです。
貸す不動産としては、先ほど説明した長屋に端を発する住宅の他にマンションや事務所、店舗等のテナント、倉庫やガレージ、そして駐車場や土地そのものといったようにその種類は多岐に渡ります。
そして少し前にまた不動産投資が注目されていた背景には一番大きな理由として超低金利が背景にあります。さらに年金制度の崩壊に見られるような将来への漠然とした不安といったものが後押ししていると言っていいでしょう。
一方で有力な貸出し先を見つけられない金融機関は比較的安定した収益が見込める不動産投資に積極的に融資を行い、そして将来への備えのために一般の人までが不動産投資に走りだしました。
そこには相続税対策や住宅メーカーの市場拡大策といった思惑も加わり一つのブームを作り出したと言っていいでしょう。
不動産投資は儲かるのか?
では、実際に不動産投資を検討するにあたって一番興味がある点について考えてみたいと思います。それは不動産投資は実際儲かるのか?ということです。
不動産投資には値上がりを期待するものと、その不動産から収益をあげることを目的としたいわゆる収益物件とよばれるものとの二つがありますが、不動産の値上がりはなかなか期待できないというのが現状です。
知らない間に近くに駅ができたとか、何か知らないがブームが来たといった例を除いては日本全体で値上がりを期待できる時代ではとうに無くなりましたし、そういった特殊な物件の情報が広く行き渡ることはありません。
それでは収益物件の方はどうでしょうか。結論から言うとそれほど儲かるものでもないが全く儲からないものでもない場合が多いということです。
それほど儲かるものでもないと書きましたが、それはどれくらいかと言うと銀行預金の利息よりは当然マシだけど投資金額に対して実質的な利回りで年に15%とか20%といった美味しい物件はなかなか存在しないといった感じではないでしょうか。(もちろん存在することは確かですが)
単純に年に20%だと5年で投資金が取り戻せる計算になります。実際には賃料等の収入から固定資産税に代表される税金や管理費用、修繕費用等が引かれたものが実質的な収益となります。(実質利回り)
一昔前なら、敷金や権利金といった契約の際に預かった金銭から解約時には一定の割合を貸主側が差し引いて借主に返却するといったことがあったり、礼金や契約時の手数料等といった名目の収入があり、通常の賃料収入にプラスされていたりしました。ところが不動産の賃貸市場自体がよほどの好条件の物件でない限り、貸し手市場から借り手市場へと変わってきていますから、貸主にとって条件はどんどん悪くなってきています。
当然、一昔前にくらべると募集時のリフォームやクリーニングにかかる費用も増えてますから、なおさら収益を悪化させる原因にもなっています。
このように不動産投資、特に収益物件に対する投資は、まったく儲からないわけではないけれど、それほど儲かるものではないというのが実際のところだと思います。
あとは、収益を確保するには物件の目利きはもちろん、いかにして初期投資や経費をできるだけ抑えていくかということが鍵となってきます。
まとめ
今回は不動産投資の概要や収益について書きましたが、もちろん不動産投資で継続して利益をあげている投資家も少なくないでしょう。ただし、不動産投資でしっかりと収益を確保したいのであればそれなりの勉強は必要ですし、徒手空拳で立ち向かうのはあまりにも無謀ですのでしっかり準備したうえで臨みたいところですね。